木に囲まれた空間は心身にいい影響を与える件について、科学的な検証が進んでいる。 | KIK

2021/12/10 09:00


木に囲まれた空間は心身にいい影響を与える。


これは日本人であれば多くの人が持っている共通感覚と言えるだろう。


私もこれまでに木質化された空間に入った時、度々感じてきたことだ。



(2016年 HOUSE VISION 吉野杉の家)



(2018年 岐阜県 石徹白用品店)



(2020年 埼玉県 O-park )


最近になって、このなんとなく感じてきた感覚が、科学的に検証されていることを知った。


以下の日経BPの記事である。


木に囲まれた空間は心身に好影響を与える


この記事の中には、オフィスや商業施設などの内装を木質化することの効果を科学的に検証した結果がいくつも示されていた。


例えば、飲食店を木質化した場合。


・入店した利用客は好んで木質化エリアに着席し、木質化エリアの着席率は、非木質化エリアの約2倍になり、売上も2倍になった(POS分析より)


・来客者の7割が木質化された店内を見たことが入店の動機となっていた(アンケート分析より)


つまり、木質化は飲食店の集客と売り上げに寄与する、ということである。



他にも、木の樹齢に着目して効果を検証した事例もあった。


これは、樹齢100年相当のスギ、樹齢50年のスギ、そして一般的なフローリングの3種の床材が敷かれた3棟の試験用居室にそれぞれ7名の被験者が入り、34時間滞在して、滞在中の心理・身体面の影響を調べたというものである。


主な検証方法は以下の通り。


・被験者へのヒアリング


・身体各部位に取りつけた温度センサーによる定期的な皮膚表面温度測定


・唾液中のアミラーゼ測定によるストレスチェック


結果は、皮膚の表面温度については床材の違いによる明確な差異はナシ。


しかし、唾液アミラーゼについては100年スギだけが大きく低減したという。


この結果は100年杉にストレス低減の効果があることを示唆する結果である。


だが、樹齢を重ねた木材がストレスの軽減につながることを示すには50年スギにも相応の結果が確認されてあるべきだということで、まだ確証には至っていないということだった。


木に囲まれた空間が心身にどのような影響を与えるかについて、複数の切り口で科学的な検証を行ったというプロジェクトは、私が知る限りではこれがはじめてだ。


効果を正しく評価するには、より長期間の検証と精緻な分析が必要になってくるだろう。



現代は人々から普遍的に認められる価値は少なくなった。


しかし、完全になくなったわけではなく「健康」や「生産性」は多くの人から支持を得ている価値観と言っていい。


「健康」に関して言えば、人生100年時代を生きる現代においての価値は物凄く高い。


木質化の「健康」に対してのいい影響が今後より明らかになれば、多くの施設や店舗に国産の木材が導入されていく機会が急増していくことも近未来である。


大勢の人にとって今後の進展に期待がかかるプロジェクトであることは間違いない。


これからの動きも注視していきたい件である。


(写真・文 Tanaka Shingo